|
京都の伝統と古刹を有する数多の名ある寺々、無名の寺々、その屋根の上から目を光らせ、睨みを利かして一千年余、諸々の御仏を守り続けている鬼瓦、それが私だ。
貧しい人々、虐げられた人々、苦悩する人々、病に苦しむ人々等、諸々の人々に仏の慈悲と希望を与え続けてこられた御仏の従者として今日まで守り通してきた私だが、己の欲の為に権力を傘にきて、度々の忌まわしい戦を起こし、愚かにも神社・仏閣を焼き払う暴挙の数々、武士は勿論、庶民を殺し、苦しめて憚らぬ残虐な行為を私は目の当たりに見続けてきた。
神・仏も怖れぬ傲慢さに、私は怒り心頭呆れて物も言えない。そして、反省も無く、飽きもせず今日に至るも地上の此処彼処で続いているとは。
神・仏を守る身としてのこの苦悩と怒りに満ちた鬼瓦を、仏と共に一度はしっかりと見てもらいたいのだ。
|